マイムであらわす「音楽の捧げもの」。マンガノマシップからメッセージ
2/17(土)開催、ホールアドバイザー松居直美企画 言葉は音楽、音楽は言葉 Vol. 5 J.S.バッハ「音楽の捧げもの」。
松居直美(パイプオルガン)、前田りり子(バロック・フルート)、寺神戸亮(バロック・ヴァイオリン)、上村かおり(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、曽根麻矢子(チェンバロ)というバロック音楽のスペシャリストがそろった豪華な布陣に加え、マイムが登場します。
今回、作品の裏側にあるストーリーやその世界観をマイムで表現するマンガノマシップ(サラ・マンガノとピエール=イヴ・マシップ)から、メッセージをいただきました。
今回のプログラムの出発点は?
「音楽の捧げもの」という曲は創造性の象徴ともいえるでしょう。この作品は即興と創造性を背景に生まれています。J.S.バッハはフリードリヒ大王二世に招かれ、特別なテーマ(旋律)で即興演奏を行いました。テーマは王が作曲したもので、この最初の即興演奏を元に、バッハは作品として完成させ、王に献呈したのです。
これは宮廷の”遊び”でしたが、バッハは”遊び”とはとらえず、とても真剣に取り組みました。そして、この偉大な傑作(音楽の捧げもの)を生み出したのです。
またバッハは、伝統的なカノン、フーガ、対位法などの技術を用いて、神を賛美する作品をフリードリヒ二世に提供したのです。宮廷らしい、軽快で異教的な音楽を好む、啓蒙思想の王に。バッハは、王から与えられた軽快でシンプルなテーマと、バッハの持つ伝統的な様式という異なる二つのものを驚くべき方法で融合させることに成功したのです。
この作品のどんなところにインスパイアされましたか?また、どんなステージになりそうですか?
私たちの感性を刺激するのは、作品の歴史、音楽の両方です。私たちは「創造が持つ力」をぜひ皆さんに伝えたいと思っています。
アーティストがどのように音を奏で、遊び、楽しみ、アイデアを構築し、作品に感情を込め、自由な想像力を羽ばたかせる。私たちは音楽と即興という二つの寓話的なキャラクターを演じることで、音楽家の内なる動きを可視化したいと考えています。
今回は楽譜からインスパイアされた白黒のステージで、私たちは象徴的で遊び心に満ちた世界(言葉)を創る予定です。音符、楽譜の線、音楽の動きを、踊る“詩”として表現したいのです。もちろん、歴史の舞台となる宮廷の“言葉”も同じくインスピレーションの源となっています。
前回のミューザでの公演の印象を教えてください
ミューザ川崎シンフォニーホールで演じるのは今回が2回目になります。
1回目は2020年の2月でした。あの美しい舞台で、才能豊かなオルガニストである青木早希さんと共演できたことは本当に喜びでした。また、ミューザのスタッフ、企画者である松居直美さんにも感銘を受けました。来場された皆さんはとてもあたたかくわたしたちの演技を受け入れてくれ、忘れられない、とても奇跡的な瞬間でしたね。
今回は最高峰のオルガニスト松居直美さん、同じくすばらしい音楽家たちとの共演で再び戻ってこられることがとてもうれしいです。
前回の動物のマスクはとても印象的でした。今回も造形物を使う予定がありますか?
今回も新しいビジュアルを入れる予定です。私たちは常に、私たちの言語である、ダンス、マイム、マスク、身体表現にそうしたものを盛り込んでいます。
今回もミューザのために創り上げているところで、恐らく今回も、動物のマスクや、大きなオブジェクトを使うことになるでしょう。壮大な世界へのいざないとして。
ホールアドバイザー松居直美企画 言葉は音楽、音楽は言葉 Vol. 5 J.S.バッハ「音楽の捧げもの」
【日時】
2024年2月17日(土) 14:00開演
【出演】
- パイプオルガン:松居直美
- バロック・フルート:前田りり子
- バロック・ヴァイオリン:寺神戸 亮
- ヴィオラ・ダ・ガンバ:上村かおり
- チェンバロ:曽根麻矢子
- マイム:マンガノマシップ
【曲目】
- J.S.バッハ:音楽の捧げもの BWV1079