創発×モーマチ第60回「音楽を聴いて言葉で伝える!〜中高生向けワークショップ」
2025.04.02
2025年3月2日(日)モーツァルト・マチネ第60回、クラシック音楽ファシリテーターの飯田有抄さんによるワークショップを開催しました!
中高生のみなさんへ、お互いが影響し合い高め合うプログラムを!という思いでスタートした『創発プログラム』。2024年度最後は、“音楽を聴いて言葉で伝える”コンサート・レポートのワークショップです。
まずは今回飯田さんに「私の仕事を奪われる日が近づいてきている…!」とまで言わしめた、受講生によるコンサート・レポートをご紹介します。
今日は、第60回モーツァルト・マチネ〈モーツァルト&ザ・ボヘミアンズ〉を聴いてきました。
曲目は、ヴァンハル、ミスリヴェチェク、そしてモーツァルトと珍しいプログラム。
みなさんはヴァンハルやミスリヴェチェクという作曲家を知っていましたか?私はこのコンサートで初めて知りました。2人ともボヘミア出身で、モーツァルトとも交流があったそうです。実際3人の曲を続けて聴いてみると、似ているようで似ていない、3曲ともそれぞれ違った特徴を持っていて、その違いを楽しむことができました。
まずヴァンハルの交響曲
ニ短調は、疾走感のある短調部分と、ボヘミアの街並みを想像させるようなあたたかみのある長調部分の対比が面白かったです。また、昔の宮廷などで流れるような、荘厳な雰囲気でありながらも優しく耳に入る感覚も心地よく感じました。ミスリヴェチェクのヴァイオリン協奏曲では、金管楽器が入ったこともあり、ヴァンハルと比べると少し華やかさが加わったように感じてワクワク感も増しました。1楽章はプロローグのようにオーケストラが始まり、ソリストが高音で軽やかに登場します。2楽章は落ち着いていて歌のように滑らかに奏でられ、3楽章はフィナーレらしく輝かしく終わります。全て通して聴くと、コントラストが楽しく、まるで1つの劇をみているような気持ちになりました。
モーツァルトの交響曲第38番〈プラハ〉は、先の2曲にはなかった打楽器の響きが印象的でした。さらにスケールが大きくなり私自身も目の前の景色がパッと広がったようで、改めてさすがモーツァルトだなと感じさせられました。
今回のオーケストラは通常と違い小編成であることから、いつも聞くオーケストラとはまた違った良さが感じられたところも良かったです。ただ、人数が少なくても迫力がなくなるわけではなく、ホールの心地よい響きも感じられて、心に残る素敵なコンサートでした。
(高校2年生/受講生)

今日は佐藤俊介さんのモーツァルトマチネを聴きに行きました!
平凡な日曜の午後ですが、ここミューザ川崎シンフォニーホールは18世紀のささやかなプラハの夕暮れにタイムスリップしたようです。
オーケストラは小編成ながらもビブラートを用いないピリオド奏法(作曲された時代に合わせた奏法)のためか、ホールに響く残響が雑味のないクリーンさがあり大編成の曲とはまた違う楽しみ方が体験出来ました。
ときおり佐藤俊介さんのバロックから奏でられるポルタメント(1つの音からもう1つの音へ滑らせる奏法)が心地よく耳に入り夢見心地でした。
同年代の作曲家でありプラハに縁がある楽曲ということもあり、プログラム全体で1つのオペラ作品のような軽やかさ、音楽の楽しさを味わえたのは初めてでした。
各プログラムを通してモーツァルト、ミスリヴェチェク、ヴァンハルが対話してそれぞれの音楽を楽しみリスペクトしていたことが感じ取れました。
私は21世紀に生きる14歳ですが18世紀の音楽家と時を共有できた幸福感がありました。
(中学2年生/受講生)

中高生のユース・レポーターが書いたコンサート・レポート、いかがでしたか?ここからは、この素晴らしいレポートが誕生したワークショップの様子をお伝えします!
<コンサート開演前>
受講生の皆さんは、ありさ先生(飯田さん)からレポートにおけるポイントを伺いました。

- 具体的にどんな人がこのコンサート・レポートを読むのか想像し、思いやりを持って文章を書くこと。
- コンサートに来られなかった人に「行きたかった!」と聴き逃したことを悔しく思わせ、来た人には「そうそう、私も!」「あ〜、そうだったんだ。」「私はこう思った!」といった共感や知識、考えるきっかけとなるようなレポートになるように。
- 自分の言葉が間違っていないかな?恥ずかしい…ということは気にせず、勇気を持って、のびのびと言葉にしてみよう!
最後に今日のコンサートの情報(曲目/作曲家等の関係性/出演者(佐藤俊介さん)について等)をチラシから読み取り、コンサートの鑑賞へ。

<終演後>
受講生の皆さんは昼食をとりながら、プログラムを見返したりスマートフォンで気になる事を調べたりしながら、レポートする内容を頭の中で整理している様子でした。
<ワークショップ〜執筆タイム>
まずは書いてみよう!と各自のスマートフォンを使って執筆タイムに入りました。しかし、すぐにスラスラと書けるということでもなく…受講生が積極的に先生に質問しながら、執筆を進めました。
この日コンサートの記録写真を撮影したカメラマン有田さんから撮りたての写真を共有していただき、レポートと一緒に掲載する写真も選びます。

<レポート発表>
あっという間に30分程が経過しましたが、受講生の皆さんにはまだ時間が足りない様子…ですが一度区切りをつけて入稿!ミューザのブログ記事に仮掲載し、みんなで文章を見ていきました。
ありさ先生はそれぞれのレポートで特徴的な一文を取り出し、その魅力をコメントしてくださいました。
- 「似ているようで似ていない」
→イマジネーションを膨らませてくれる言葉。自分自身の内側から出てる、生々しい感覚で書かれている。 - 「対比が面白かった」
→クラシックの醍醐味。メリハリが伝わってきた。 - 「私は21世紀に生きる14歳ですが18世紀の音楽家と時を共有できた幸福感がありました。」
→この最後の一文に泣きそう。世界観が素晴らしい。素敵な言葉運び。 - きちんと情報が入ってくるけれど、ポエジー(詩、詩情)がある。
受講生同士もコメントし合い、お互いに自分にはなかった切り口に気付きを得ていることが伝わってきました。

<質問&ありさ先生からのメッセージ>
- 「感想を自分の言葉にしたいけれども、どうしたら引き出しが増えるか?」
→以前は“読書”と言われたが、今は“SNS”を活用できる。同世代の投稿だけでなく、リスペクトしているアーティストの投稿を見て、共感できればその表現を引っ張ってくる。真似、学ぶ。いいなと思ったらすぐ使う。自分が行ったコンサートを検索して色々な人の投稿を見てみる、など一つ一つ積み重ねていく。 - 自分が本当に“こうだ!”と思っていないと伝わらない。
今回の受講生の皆さんは、日頃それぞれ楽器を演奏されているとのことで、レポートでも演奏でも通じる大切なこともお話しくださいました。 - 音楽家として発信することの大切さ
発信すると、その気が無くても間違った受け取られ方をしてしまう可能性もあるけれど、「発信は広告と同じ。自分がお金を払ってでも知ってもらいたいことか?を一つの判断材料にする。」 - AIの活用方法
今回ワークショップ中にも、専門用語の伝え方を検討するために検索エンジンで調べ物をしましたが、「AIを活用していける人が、これからどんどん上に行ける!けど、AIを”上から目線で”使いこなせないと、AIに使われてしまう。出てきた文章を評価判断できる、自分で書く力をつける必要がある。」と、AIとのお付き合いの仕方も具体的に指南していただきました。
実は受講生がレポート執筆中に、ありさ先生も同時に執筆し、ご自身のFacebookにその場で投稿されていました。そちらもぜひご覧ください。

今後もミューザでは、中高生の皆さんが“創発”するプログラムを行なっていきます。次年度の情報公開もお楽しみに。ぜひお一人でも、お友達と一緒でも、奮ってご参加ください!