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【2/23公演】ホールアドバイザー小川典子企画 第12回浜松国際ピアノコンクール優勝者 鈴木愛美を迎えて

今最も注目のピアニストが登場!

ホールアドバイザー小川典子がこだわりのプログラムをお贈りする「ホールアドバイザー小川典子企画」。今年度は、小川さんが審査委員長を務める浜松国際ピアノコンクールの優勝者を迎えます。11月に行われた第12回浜松国際ピアノコンクールの様子と、日本人初の優勝に輝いた鈴木愛美さんについてご紹介しましょう。

文:森岡 葉(音楽ライター)

アーティスト写真
ピアノ:鈴木愛美(第12回浜松国際ピアノコンクール 第1位)

国際コンクール初挑戦で初優勝 次代を担うスター誕生!

世界に羽ばたく若きピアニストの登竜門として、1991年から3年ごとに開催されている浜松国際ピアノコンクール。第1次予選で「練習曲1作品以上を含む20分間の自由曲」、第2次予選で「日本人作曲家による委嘱作品と古典派、ロマン派、近・現代の異なる時代区分の作品から2つ以上を選択した自由曲」、第3次予選で「室内楽とソロ・リサイタル」、本選で「指定されたピアノ協奏曲から1曲」という重量級の課題で、ピアニストとしての資質があらゆる面から試される。歴代の優勝者・入賞者には、ショパン国際ピアノコンクールで優勝したラファウ・ブレハッチ、チョ・ソンジンほか、現在活躍している多くのピアニストが名を連ねている。

2024年11月8日から25日までの18日間にわたって開催された第12回大会は、コロナ禍のため6年ぶりの開催となり、過去最多の638名の応募者からビデオ審査で94名が出場を承認され、25ヶ国1地域から87名が出場した。このコンクールをモデルとした恩田陸さんの小説『蜜蜂と遠雷』の映画化などの影響もあってか、第1次予選から連日チケットは完売。遠方から訪れた聴衆も多く、客席の熱い視線に包まれて、ハイレベルな戦いが繰り広げられた。

小川典子審査委員長が「素晴らしいピアニストたちの演奏で、会場が宝の箱のようになった」と語ったコンクールの頂点を極めたのは、鈴木愛美さん。2023年、ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、日本音楽コンクールピアノ部門第1位を受賞し、今回は初めての国際コンクールへの挑戦ながら、見事に日本人初の優勝を果たし、併せて「室内楽賞」「聴衆賞」を受賞するという快挙を成し遂げた。

東京音楽大学大学院修士課程1年に在学中の22歳の鈴木愛美さんは、記者会見で「曲を理解して表現することだけに集中していました」と本選までの演奏を振り返り、「多くの聴衆の方たちの前で演奏できて幸せでした。本当に大変なことになってしまいました」と戸惑うような表情を見せ、さらに「真摯に音楽と向き合い続けたい」と謙虚に語った。

第2次予選のブラームス「8つの小品」のあふれるような詩情、第3次予選のシューベルト「ピアノ・ソナタ第18番」の作曲家の心情に迫る深い表現、シマノフスキ「メトープ」の神秘的な響き、フォーレ「ヴァルス・カプリス」の精緻で華やかな魅力、ピアニストとして必要な技量と感性をすべて持ち合わせている逸材だ。また、モーツァルト「ピアノ四重奏曲第2番」では、弦楽器奏者と緻密なコンタクトを取りながら、随所にチャーミングなフレーズを織り込み、本選のベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」では、凛とした佇まいで、多彩なタッチを駆使してオーケストラに対峙し、鮮やかな情景を描き出した。

優勝者ツアーの皮切りとなるコンサートは、2月23日、ミューザ川崎シンフォニーホールでのリサイタル。審査委員長の小川典子さんも協演し、コンクール委嘱作品の日本人作曲家(猿谷紀郎)の新曲も披露される。次代を担うフレッシュな才能に触れるまたとないチャンスとなることだろう。

(ミューザ川崎シンフォニーホール友の会会報誌「スパイラル」vol.83より)

ホールアドバイザー小川典子企画
第12回浜松国際ピアノコンクール優勝者 鈴木愛美を迎えて

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