【ホール20周年特別連載】ミューザの日2024「アニバーサリー・コンサート」~企画制作を通じて学んだこと~
みなさん、こんにちは!ミューザの日2024 アニバーサリー・コンサートのプロデューサーをしている、市川モナです。
コンサートまで早残り約一ヶ月となり、ブログも第6弾を迎えました。そんな第6弾のテーマは、「プログラム・企画を具体的な形にしていく中で感じたこと・学んだこと」です!
一口に「プログラム・企画」といっても広いので、私が以前担当した第2弾の「プログラムに込めた想い」の続きの意図を込めて、曲目と曲順に焦点を当てようと思います。自分の中でもこの企画に関わらせていただく中で最も印象に残っているのが曲目・曲順決めで、学ぶことが多かったなと今振り返ると感じています。
まず初めに、曲目決めで難しいと感じたことについて。
曲目を決める際、考慮しなければいけない点がいくつもあり、何が最善かを見極めるのが大変だった思い出があります。
例として、
- 選曲が地理的・文化的に適切か
- 楽譜を取得できるか
- お子さんやクラシック音楽を普段鑑賞しない方でも楽しめるか
- 川崎市市政100周年&ミューザ開館20周年というお祝いのテーマに合うか
などです。
前者2つは一つの国につき複数の案を挙げながらそれぞれの案を比べたり、その国のオーケストラに問い合わせてみたりというように対処しました。これは東響のスタッフの方々やマエストロがしてくださったのですが、私はプロの世界の情報源の多さに感激するばかりでした。
後の2つは自分の中で常に念頭に置いていたことで、選曲の際にできる限り客観的に考えるようにしました。
例えば、クロアチアの一曲として選んだスッペ作曲の「軽騎兵」。元々クロアチアの曲には、民謡や愛国歌など、様々な案が出ていました。クロアチア、特に川崎の姉妹都市であるリエカ市はユニークな歴史・文化的背景を持っているので、地理的な正確性とコンサートに合った曲調のどちらを選ぶか、すごく迷いました。
最終的には、リエカ市の特有さは薄れてしまうものの、クロアチアの代表的な作曲家であるスッペの「軽騎兵」を選びました。この曲は吹奏楽バージョンで演奏されることも少なくなく、管楽器が中心の冒頭部分がとにかく華やかでかっこいい!この曲なら多世代の方に楽しんでいただけると思いました。
このように、”最善のもの”を選ぶのは大変でしたが、何が一番大切かを見極める、大きな学びになったと今になっては感じています。
そして、選曲に加えて思い出深かったのが、曲順決め。
計10曲も演奏するわけですから、曲数が多いですよね。コンサート終盤になってもずっとお客様に楽しんでいただけるようにするには、「流れ」が重要だと私は考えました。
曲から曲への移り変わりのスムーズさだけでなく、コンサートのテーマである「お祝い」の雰囲気をずっと保つことなど、工夫しなければいけないことの多さに最初は戸惑いました。
曲順を考える際に私は「地理的アプローチ」と「馴染みのあるものから始めるアプローチ」という2つの候補を出し、最終的には脚本の桜井しおりさんに調整をしていただきました。
実際のコンサートでは、桜井さんが「川崎大好き 川崎市民役」として、9つの国を繋いでくださいます。曲間にはトークなどが入りますが、その土台として曲順選びがあるので、当日ぜひご注目ください!
この経験から感じたのは、どんなコンサートも企画者の意図と工夫の集大成であるのだな、ということ。私は他にコンサートを企画したことはないものの、どんな公演にもこのような過程があるのだと想像すると、「聴く」「観る」以外にも楽しみ方があるのだなと感じました。今回のブログで主に取り上げた曲目・曲順決めはその工夫のうちの一部でしかないと考えると、コンサートってスケールが壮大で、とてもワクワクしますね。皆さんも是非ミューザの日2024 アニバーサリー・コンサートの「工夫」を聴きにいらしてください!6月29日にミューザでお待ちしております!