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『僕、世界一好きなホールなんです!』(2/9公演 MUZAスペシャル・ナイトコンサート ヴァレンタイン・スペシャル)

2024.01.30

From_Muza

『僕、世界一好きなホールなんです!』

ともかく「スペシャル」なのである。昨今何でも「特別」扱いのものが多い中、この公演こそ文字通りの「スペシャル」な公演なのである。

今一番人気のアーティストたちが一堂に揃う、貴重な場

昨年9月、4年振り5枚目のアルバム<Eau Rouge>をリリースしTV・ラジオでも大活躍のサクソフォン奏者・上野耕平、2年に亘るピアソラの記念公演を全国で展開し、その集大成として自らのキンテート(五重奏団)で録音したアルバム<ピアソラスタンダード&ビヨンド>が大好評のバンドネオン奏者・三浦一馬、自らと同じ作曲家&ピアニストの高橋優介とピアノ・デュオ「アンセットシス」を組み、独自の編曲によるラフマニノフの大曲「交響曲第2番」全曲を演奏し大いに話題となった作曲家&ピアニスト・山中惇史、そして「日本一忙しいドラム奏者」としてコンテンポラリーからジャズやロックのフィールドまでジャンルレスに活躍しているドラムス&マルチ・パーカッション奏者&作曲家・石若駿。

今日の日本の音楽界で、彼らの名前を聞いたことのない人はいないであろう人気のアーティストたち、事実、年に数回しか一緒のステージができない彼らが一堂に揃う、この<MUZAスペシャルナイト・コンサートヴァレンタイン・スペシャル>は、よくあるお祭り的な「ガラ・コンサート」では全くない、ヴァレンタインだからって決して甘くない、まさに「ここでしか生まれないスぺシャルな音楽」がここにあるのだ!

お互いの音楽をリスペクトしあうアーティスト同士のアンサンブル

元々、サクソフォンとバンドネオン、ピアノという、それぞれの楽器とのデュオ演奏からお互いの音楽への強い共感が生まれ、次は3人で演奏してみようということから始まった<トリオ・コンサート>について、『いつもはリサイタルやオーケストラとの共演など、通常のクラシック・コンサートの形態で、それぞれの楽器のレパートリーを演奏していますが、サクソフォンとピアノ、そしてバンドネオンという、形も大きさも発音形態も異なる楽器によるアンサンブルは、これまでにない演奏形態で、とてもエキサイティング。全く違う世界を見せてくれるんです。』と熱く語る3人。事実、この3人によるピアソラの名曲やラヴェルの「ボレロ」は、洒脱なアレンジとともに<生演奏>ならではの情熱的でスケールの大きな演奏となり、オリジナルの楽器編成を忘れてしまうほど!さらにこの演奏に、上野と東京藝大の同級生であり他の2人とも気心の知れている石若駿が、ヴィブラフォンやドラムス、様々な打楽器で加わることで、一体どのような音楽になるのか、どのくらい大きなケミストリーが生まれるのか、だれも予想がつかない、背筋がゾクゾクする「スペシャル」な体験ができるのだ!

世界一好きなホールで演奏できる幸せ

『ミューザ川崎シンフォニーホールは、僕、世界一好きなホールなんです!サクソフォンという楽器にピッタリの響きなんです。』オーケストラとの共演のほかに、自身もメンバーのサクソフォン四重奏団「ザ・レヴ・サクソフォン・クヮルテット」でも演奏し、その響きに感激した上野耕平が語るミューザの音響の良さは、三浦一馬いわく『客席がらせん状になっていて(バンドネオンにとっても)音が拡がる感じでとても演奏しやすい』ホールであり、特にこの音量も異なる楽器同士のアンサンブルでもマイク類を一切使用しないで充分響きを創ることができる、このホールでしか味わえない幸せなひと時だ。

ここでしか聴けない楽曲の数々

今回の公演の第1部では、他所ではあまり演奏されない、彼らが今一番聴いていただきたい作品を披露する。『100年後、200年後にクラシックの名曲となる作品』として上野耕平が大事にしている旭井翔一のソナタ、バンドネオンの可能性を拡げるべく三浦一馬自らが編曲し披露するガーシュウィンの作品たち、いままさに山中惇史が猛烈に取り組んでいるショパン作品から名曲「ロマンス」(ピアノ協奏曲第1番の第2楽章)の珍しいバックハウス編曲版、そして昨年末、札幌交響楽団との共演で世界初演された石若駿の自作曲「playgroundz」のピアノ伴奏版など、どれもこの会場でしか体験できない貴重な楽曲たちに出会えるのだ。

また第2部の冒頭では、上野が和太鼓奏者、林英哲との共演のために委嘱して生まれた、藤倉大作曲の「ブエノウエノ」が、上野と石若駿との演奏で披露される。サクソフォンの色彩豊かな音色と打楽器による複雑なリズムが絡み合いつつ、気合いで合わせるような邦楽の精神なども反映された名曲が楽しめる!

いくつもの「スペシャル」が詰まったこのコンサート、チョコレート以外で甘く胸がいっぱいになること間違いない。
Wish you a Happy St. Valentine’s Day♥

文・小澤貴広(コンサート・プロデューサー/オザワ・アート・プランニング合同会社代表)

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