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【サマーミューザ特別コラム】鍵盤楽器以外の「ゴルトベルク変奏曲」(text:加藤浩子)

 「ゴルトベルク変奏曲」は「二つの鍵盤を持つクラヴィチェンバロのため」と明記された作品で、32曲中14曲は二段鍵盤で弾くよう指定されている(うち3曲は一段または二段鍵盤)。とはいえグレン・グールドがピアノで演奏したことで本作が飛躍的に有名になったのは周知の事実。またバッハの音楽が持つ構成感と抽象性は楽器を超えて共有されるので、楽器の指定をはみ出て「ゴルトベルク変奏曲」が愛されるのもうなずける。

自筆楽譜の一部

 実際「ゴルトベルク変奏曲」は、弦楽器や木管楽器はもとより、ギター(ソロ&デュオ)、ハープ、リコーダーからアコーディオンまで、ありとあらゆる楽器、ありとあらゆる編成で演奏されている。どのヴァージョンも、それぞれの楽器の個性が出て面白い。
 一世を風靡したアレンジを一つ挙げるとしたら、ヴァイオリニスト・指揮者のドミトリ・シトコヴェッキーによる弦楽器のための編曲だろう。グレン・グールドの追悼のために編まれた弦楽三重奏版が大ヒット。続いて弦楽合奏版も生まれ、変奏ごとに編成を変える凝りようで話題となった。
もちろんオルガンのための編曲もある。オルガンならではの多彩なストップから繰り出される音色やデュナーミクのグラデーションは圧倒的だ。天下の名作がミューザのオルガンでどう変貌するか、興味は尽きない。
(文:加藤浩子)

パイプオルガンによるゴルトベルク変奏曲が聴けるコンサートはこちら👇

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