ワークショップレポート「みずいろのスマイル」ができるまで その②
ワークショップレポート その1から続く
第2日目(6月8日)
最初のワークショップから2週間後。教室に入ってきた生徒たちは、前回参加したファシリテーターの顔を見て「覚えてるよ!」と声をかける。
表情は初回ほど固くなく、にこやかだ。
今回はファシリテーター2名に加え、東京交響楽団のメンバーも3名参加した。
今日からはいよいよ曲づくりが始まる。
音楽づくりは、ヴェルディのオペラ「アイーダ」の音楽を手がかりに進めていく。
ファシリテーターの池野博子(声楽)がアイーダの物語を紹介する。指人形を使って、ストーリーを説明し、場面ごとに音楽が入り、さながら音楽劇を見るよう。
生徒たちは物語にひきこまれ、身を乗り出して聞き入る。アイーダのピンチや、悲恋では「かわいそう!」「あぁ(ため息)」、祝祭の場面では「やったー!」「パーティだね!」と一緒に物語を楽しんだ。
そこから、リズムをやりたいチーム、メロディを作りたいチームに分かれて、「パーティ」の場面での音楽作りが始まった。
音楽家はあくまでもサポート役。曲づくりの主役は生徒たちだ。
リズムチームは東京交響楽団の蟹江慶行(チェロ)と新澤義美(打楽器)がサポート。
生徒のみくは「わたし、やってみたいリズムがあるんだけど」と祭ばやしに似たリズムを太鼓でたたいてみる。
太鼓の感触や振動、リズムが楽しく、生徒たちはついつい興奮して叩きすぎてしまう。
そこは新澤が、たたく順番やタイミングなどを計りながら調整し、蟹江のチェロが低音で寄り添う。
メロディチームは、リズムチームから聞こえてくる元気なリズムが気になりながら、「パーティ」にふさわしいメロディを模索。
こちらにはファシリテーターの大松暁子と、東京交響楽団の中村楓子の2人のヴァイオリニストがサポートに入った。
パーティと言えば、なんだろう?と、その要素を一緒に考えてみる。生徒たちから「ケーキ」「チキン」などの言葉が次々と飛び出し、まずは歌詞が出来上がった。それに生徒たちがiPadで演奏したメロディーが組み合わさり、ヴァイオリンで演奏されて一つの曲になっていく。
最後にはなんとも賑やかで、楽しい音のパーティができあがった。大興奮のあまり、肩で息をする生徒も!
終了後は、音楽家とドレイク・ミュージックのベン・セラーズとのフィードバックセッションが必ず行われる。
ファシリテーションする側も、まだまだ学ぶことは多い。葛藤や迷いの中で、次にどうすべきかを考えていくのだ。
★ベンからのフィードバック
合奏時には、カオスを楽しむのも一興だが、指揮をする場合にはっきりと合図をしてあげることで、生徒たちの発想や表現に加えて、音楽的なコントロールや味付けができる。
生徒たちの「オリジナル」とはなにかを考えよう。彼らだけの発想をどう促すのか。たとえば選択肢を提示して選んでもらうことは、生徒のオリジナルといえるのだろうか?