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ミューザ川崎シンフォニーホール
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きり<・ハンドベルアンサンブル主宰 大坪泰子さんに聞く「きりくならではの音楽表現」

12月21日(土)「MUZAパイプオルガン クリスマス・コンサート2019」にてパイプオルガンと共演するきりく・ハンドベルアンサンブルを主宰する大坪泰子さんにお話を伺いました。

独自の技術による音色と余韻
きりくならではの音楽をお楽しみに!

ハンドベルアンサンブルは、皆さまもきっと何かの機会に見聴きされていることと思います。この楽器は約400年前にイギリスで作られたのが始まりで、豊かな倍音の美しさが特徴です。ベルはそれぞれがひとつの音程ですから、アンサンブルとして組むときはそれぞれが「鍵盤」にあたります。高音用は手のひらサイズ、低音用は抱えるほどに大きいバケツ大のものまで、たくさんのベルを組み合せて演奏します。
一般的にハンドベルアンサンブルは14~15人程度で組みますが、きりくは少人数の独自編成で通常以上の音域をカバーしています。ですので楽譜もオリジナルのものを用意していますが、その編曲がなかなか手のかかる作業なのです。まずピアノ譜やスコアから音を「鍵盤」にあたるベルにあてはめて、奏者に割り振って、楽器の持ち替えができるかどうか確認して……そんなパズルを解くような作業をして、やっと私たちのアンサンブルのための楽譜ができあがります。
そこから音を出しての音楽づくりが始まるのですが、そこにもきりくが大事にしているポイントがいくつもあります。たとえば、音色と余韻の作り方です。そもそもこの楽器は、残響の豊かな欧米の教会で演奏されてきたものですから、ただ嗚らすだけできれいな音が響くと思われてきました。ですが、どんなに響きの良い会場であっても、それだけで納得のいく音楽にすることはもちろんできません。私たちはむしろ響きの悪い環境下で、音色や余韻をコントロールする技術を独自に上げることにより、音楽表現を可能にしてきました。余韻というと長く残る音を想像されるかもしれませんが、どんなに短い音や速いパッセージにも、それぞれに適切な響き方があります。それを全て嗚らし分けているのが、きりくの特長です。
こうして緻密に作り込んだ私たちの音楽は、音響の良いホールならば、さらにお楽しみいただけるはずです。ミューザ川崎シンフォニーホールは世界的にも評価が高い会場ですから、索晴らしい響きをお届けできるでしょう。今回演奏するのは、私たちハンドベルアンサンブルとオルガンで、定番から今回のための新作までと、ジャンルを越えて楽しめるクリスマス・ソングです。私たちのアンサンブルがオルガンとどう調和するか、12月21日をどうぞお楽しみに!
(友の会会報誌「スパイラル vol.62」より転載/取材・文 千葉さとし)

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