【クラシック豆知識】エニグマ、すなわち「なぞなぞ」変奏曲
曲に隠された小さな謎と大きな謎
「この曲には小さな謎と曲全体に隠された大きな謎がある」と作曲者エルガーが言ったことから、付いた愛称が「エニグマ(なぞなぞ)変奏曲」。最初の主題の後に14の変奏が続くのだが、各変奏にはイニシャルが添えられ、作曲者の友人や家族の人物像が音楽で描かれている。いわば音楽による肖像。第1変奏は妻アリス、第2変奏は室内楽仲間のピアニスト、第3変奏はアマチュア劇団の役者……といったように、各変奏があらわす人物はほぼ判明している。しかしこれは「小さな謎」。作曲者によれば「大きな謎」が隠されているはずだが、それはいまだ解明されていない。(文・飯尾洋一)
【公演情報】
ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団
名曲全集第149回
出演/
指揮&ピアノ:ライアン・ウィグルスワース
ピアノ:ポール・ルイス
曲目/
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 op.56a
モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲 K.365
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番 op.19 ※
エルガー:エニグマ変奏曲