パイプオルガンのメンテナンス実施中! その2
2019.02.07
ミューザの休館中にパイプオルガンの整音作業を行っています。
今回は、パイプにどのような変化を加えているのか、詳しく見てみましょう。
今回ご紹介するMixturとCymbelは、鍵盤上で1音弾くと同時に数本のパイプが鳴るという音色です。
単独で使われることはありませんが、基音となる他の音色と組み合わせて音を輝かしくし、また躍動するリズムを感じさせるという役割があります。
そのため、他の音に良く解け合う音色であると共に、このストップの役割に相応しいシュッと切るような発音を持たせることも大切。
これまで以上に他の音と交じり合い、組み合わせやすい音色へと変化させていく作業です。
まずは、パイプに空気が入り込む穴の部分。写真左が作業後のパイプです。
作業後のパイプの方が空気が入る穴が小さくなっています。
次に、音が出る「歌口」と呼ばれる部分。写真奥が作業後のパイプです。
一見してわかるのが、歌口の左右につけられた小さな長方形の板(ひげと呼ばれています)がなくなっていること。
そして、歌口の内側に板(ラングイドといいます)が入っていますがこの位置が少し下がっているのがわかるでしょうか?
別の角度から見てみましょう。
これは、先ほどのパイプの1オクターブ高い音のサンプルパイプ(右)と作業前のパイプ(左)です。
ラングイドの位置が変わっているのに加えて、切れ目の部分についているギザギザが浅く滑らかになっています。
また、歌口の下の部分の角度が急だったものがより長く滑らかに(反射で△の形が見えますが、その形が変わっています)。
さらに角度を変えて真横から。奥がサンプル、手前が作業前のパイプです。
ちょっとした差ではありますが、サンプルパイプは歌口の上唇の部分が少しだけ前に出ているのがわかります。
これらの作業を経て、MixturやCymbelらしい音の鋭さや豊かな倍音、そして少しのノイズ(ノイズが適量混じることで、組み合わせた際に音が一体化します)が得られるそうです。
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