期待の指揮者! 熊倉優さん(8月4日NHK交響楽団)
今年のフェスタサマーミューザKAWASAKIのラインナップが発表されたとき、NHK交響楽団を指揮する「熊倉優」という名前に誰もが首をひねったのではないでしょうか。誰? 知ってる??
それもそのはず。熊倉さんは26歳の若さ、2018年5月に広島交響楽団を指揮してプロデビューしたばかりの、ルーキー指揮者なのです! フェスタサマーミューザKAWASAKIのN響公演は、熊倉さんの首都圏プロデビュー公演となります。
そんな期待の若手指揮者・熊倉優さんに、ミューザのスタッフがお話を伺いました。
―どのようなきっかけで指揮者を目指されたのですか?
実は一番難しい質問なんですよね(笑) 子どものころはヴァイオリンをやっていました。ジュニアオーケストラに入ったのが音を出す集団との最初の接点です。昔はいわゆる「緊張しい」で、体にでてしまうタイプでした。手が震えてしまったり。それで、音楽家に向いていないのではないかと思っていたんです。でもオーケストラに入って、作曲家や指揮者など、音を出さない音楽家がいるということに気づいたんです。桐朋学園大学に作曲科で入ったのも、そういうきっかけでした。作曲と指揮は同時進行でやりたいと思っていました。進路を意識したのは中学生の時です。いろいろな可能性を検討しましたが、音楽をやめたくないという一心で中学が終わるころには進路として音大を考え、将来的には音楽を仕事としていきたいと思うようになりました。
―熊倉さんは現在、NHK交響楽団のアシスタントとして、いわば「縁の下」を支えるお仕事をされています。普段は指揮台に立つことはないそうですが、一度だけ代振りをしたことがあったそうですね? また、今度はコンサートの指揮者として指揮台に立つことになりますが、どのようなお気持ちでしょうか?
急病になった指揮者の代振りでリハーサルに立たせていただいたときは、半分覚えていないぐらい緊張してしまったんです。指揮台に立った時にいきなり指揮棒を落としてしまって(笑) それを皆さんが笑ってくれたので、場が和みました。もちろんわざとではなく、本当に手の感覚がわからなくなってしまったんです。その時はピンチヒッターということもありましたので、楽団員の皆さんは温かく迎えてくださいました。「ここからお願いします」とお願いした時も皆さん笑顔で応じてくださいましたし、終わった後にアドバイスをくださる方もいらっしゃいました。なので、その際には怖さといったものは感じませんでしたが、ただ、実際にコンサートの指揮者として指揮台に立った時には、どう感じるかはまだ想像できません。
―サマーミューザでの演奏が非常に楽しみです。
最後に、お客様へのメッセージを頂けますでしょうか。
クラシックファンの皆様も、当然、まだ僕のことは知らないと思います。若手の若手の若手と言ってもいい、僕のような若い指揮者が第一線のオーケストラを率いて演奏するということは滅多にあることではありません。N響においては、この数年どころか10年ぐらいでも一番若くして指揮台に立たせていただけるのではないでしょうか。僕は全身全霊をかけて、決死の覚悟で臨むつもりです。いつも巨匠指揮者との共演でN響を聴いてくださっているお客様にも、僕のような若い指揮者と歴史あるオーケストラの共演でどういった化学反応が起きるのか、楽しみにしていただきたいです。でも、もしかすると一番楽しみにしているのは僕かもしれません。
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とても気さくで真摯にお答えくださった熊倉さん。どうもありがとうございました!
NHK交響楽団の演奏会は8月4日。当日配布のプログラムではもっと詳しいインタビューを掲載予定です。どうぞお楽しみに!!
熊倉 優(くまくら・まさる)
1992年東京生まれ。作曲を16歳より、指揮を大学入学時より始める。
桐朋学園大学卒業及び同研究科修了。 指揮を梅田俊明氏、下野竜也氏に師事、また講習会等で沼尻竜典、高関健、 Yannick Paget、András Deák、Harry Lyth、各氏のレッスンを受講。
第26回京都フランス音楽アカデミーにて最優秀賞(第1位)受賞。第12回ドナウ 国際指揮者コンクールで第2位受賞。
2016年9月よりNHK交響楽団・首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィ氏のアシスタントを、同年11月よりNHK交響楽団の全定期公演等にもアシスタントとして携わる。
フェスタサマーミューザKAWASAKI 2018
NHK交響楽団
2018. 8.4 (土) 16:00開演(14:30開場)
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:熊倉 優
アルト・サクソフォン:上野耕平
ブリテン:青少年のための管弦楽入門
グラズノフ:アルト・サクソフォンと弦楽オーケストラのための協奏曲
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番