2012年3月に財団法人日本建築防災協会から川崎市に被害調査報告書が提出されました。報告書では、地震によって、天井の重さ・形状や下地組みを構成する各要素などが天井の落下要因として作用し、天井を吊っていた部分のうちのフック状金具あるいは溶接部分のいずれかに、その最大耐力を超える力がかかったことにより、この部分が壊れて天井が垂下し、周囲の天井とともに連鎖的に落下していったであろうことが計算や実験の結果から説明できると結論付けています。川崎市はこの被害調査の結果を新しい天井の設計に反映させ、耐震安全性を確保しました。
Q1 新しい天井はどんな仕組みになっているのですか?
強固な鉄骨下地に作り変えるとともに、新しい防振金物を設置しました(①の部分)。その強固な鉄骨下地に、大震災にも耐える角パイプを取り付けました(②の部分)。また、天井ふところの高さ基準を原則1.5メートル以下に設定し(③の部分)、その内側には揺れを抑える筋交いを配置しました(④の部分)。さらに、天井の山谷部分の接合部分を、プレートとパイプで補強し(⑥の部分)、天井と内壁がぶつかりあって双方の損傷につながるおそれがあることから、天井面と周囲の壁などの間に原則100ミリメートル以上の隙間を設けました(⑦の部分)。
Q2 以前の天井とはどう違うのですか?
ミューザの天井は凹凸の形状であり、この形状は震災前の天井と同様です。天井を構成する仕組みですが、震災前の天井も新しい天井も図のとおり、2段で構成されています。震災前の天井では、天井を吊るために1段目及び2段目ともに吊りボルトという部材を用いておりますが、新しい天井では、1段目をQ1のとおり強固な鉄骨下地に作り変えている点が一番大きな違いです。
新しい天井
Q3仕組みを変えたことでの耐震性の向上については、
どんな風に検証したのですか?
天井設計のための取り組みとして、実験をおこないました。
具体的には、新しい天井の実物大のモデルに、大地震を想定した揺れを加振装置で与え、新しい天井がその揺れに耐えることについての検証を行ったものです。
実物加振実験
Q4大地震にも耐える角パイプとは、
具体的にどんなものなのですか?
ミューザの天井の形状等を考慮して、新しい天井のために新しく開発された金物です。開発された金物を含め、天井を構成する金物は、写真のとおり強度実験を行い、設計で求められている強度の3倍以上の耐力があることを確認しました。
新開発金物の加力実験
新開発金物
Q5 天井はわかりましたが、ホールの構造はどうなったのですか?
ホールの構造は、新築時に耐震性を確保して建設されており、東日本大震災においても被害はございませんでしたので、変わってはおりません。
Q6 復旧工事の進捗状況等は、どこに載っていますか? 誰に聞けばいいですか?
川崎市のホームページで復旧工事の様子や震災被害に関する報告書が掲載されています。
ホール復旧状況についてはこちら
また、工事に関するご質問は以下までお問合せください。
川崎市 市民・こども局 市民文化室 復旧調整担当 TEL. 044-200-3866