歌劇 モーツァルト コジ・ファン・トゥッテ

2016.12.08
【公演迫る!】ノット&東京交響楽団が奏でる極上のモーツァルト 「コジ・ファン・トゥッテ」リハーサル・レポート(文・榊原律子)
2016.12.08
【当日券情報】(12月9日 ミューザ川崎シンフォニーホール)
2016.12.07
【掲載】たった2回のみ上演される、充実のモーツァルト———演奏会形式で体感する《コジ・ファン・トゥッテ》(オペラ・エクスプレス)
2016.12.06
【謹告】出演者変更のお知らせ
2016.12.01
【謹告】出演者変更のお知らせ
2016.11.29
サー・トーマス・アレンからメッセージが届きました!

「客席と舞台が一体化する特別な体験―」

 私は、演奏会形式のオペラがとても好きです。
 それはなぜか。
 通常のオペラでは歌手は客席から遠くに配置されていますが、演奏会形式では、歌手は聴衆に向かい合い、まるで昔の吟遊詩人のように目の前で一対一で話しかけるようにみなさんに歌いかけることができるのです。
 オーケストラも、ピットに隠れず参加型で臨みます。オペラ演奏においても素晴らしい経験を積んでいる東京交響楽団ですが、こうした経験は柔軟性を保つために重要です。
 そして今回、特に楽しみにしておるのは、すべてのレチタティーヴォを私がハンマークラヴィーアで演奏することです。
 オーケストラと一丸となって聴衆に向かい合い、巻き込みながら一緒にコンサートを作るという特別な体験になるのです。

 ディレクションは、バンベルク交響楽団でも共演した、現代最高のバリトン歌手の一人、サー・トーマス・アレンに依頼をしました。日本で「コジ・ファン・トゥッテ」をやると決めた時、ディレクションもドン・アルフォンソ役も、とにかく彼しかいない!と思ったのです。
 その他にも、これまで共演したことのあるミア・パーション(フィオルディリージ)、マイテ・ボーモン(ドラベッラ)、ショーン・マゼイ(フェルランド)、若手で世界に名をはせるマルクス・ウェルバ(グリエルモ)、ヴァレンティナ・ファルカス(デスピーナ)と、世界中で活躍している素晴らしい歌手たちがこのプロジェクトに集います。
 この特別な舞台に、どうぞいらしてください。

ジョナサン・ノット

あらすじ

  • 第1幕

     舞台は18世紀のナポリ。「女はみんな心変わりをするもの」という考えの老哲学者ドン・アルフォンソの言葉の真偽を検証するため、青年士官であるフェルランドとグリエルモは、それぞれの恋人で姉妹のドラベッラ、フィオルディリージに、戦地に赴くと偽ってお別れをした。しかし実は、二人は変装したアルバニア人の姿となって二人の目前に現れ、お互いの恋人をとりかえて相手の恋人を誘惑する。しかし、二人とも拒絶する。特にフィオルディリージは、貞節を誓う歌を歌う。
     恋人たちが戦地に行ってしまい、残された姉妹は、嘆き悲しんでいる。そのような姿を見た姉妹の女中であるデスピーナは、二人に浮気を勧めるが、ドラベッラは、デスピーナが愛を軽んじていることに怒りを覚える。デスピーナは、ドン・アルフォンソから賄賂をもらって、二人の男たちとともに検証実験に加わることになる。
     姉妹から拒絶された男たちは、二人の同情を誘おうと試みるため、毒をのんだふりをする。案の定、姉妹は動揺して、男たちを介抱し始める。医者を呼びに出ていったデスピーナは、戻ってきたときには、医者に扮して男たちの治療を行うふりをし、姉妹の二人に、男たちの面倒をみるように急き立てる。男たちは、回復に向かうと、いよいよ姉妹への愛情が増して二人に口づけを求めるが、姉妹はここでも彼らの要求を拒絶する。

  • 第2幕

     デスピーナは姉妹に、浮気は問題ないことを説く。驚くべきことに、姉妹は納得してしまい、誰がどの人とペアになるのかを話し合っている。
    庭では、男たちが姉妹へ恋の歌を歌っている。フィオルディリージの婚約者、グリエルモは、ドラベッラにアタックし、フェルランドはフィオルディリージに求婚する。フィオルディリージが貞節を頑なに守っていることに、実際の婚約者であるグリエルモは喜び、フェルランドは、ドラベッラが心移りしてしまったことにうろたえて、裏切られた気分になってしまう。
     フィオルディリージは、ドラベッラの気の変わりやすさを非難しつつ、自分自身も、フェルランドに惚れてしまったことを認める。ドラベッラは、恋の楽しさを歌って、フィオルディリージを説得しようとする。本当の恋人でグリエルモのいる戦地に行こうとするフィオルディリージだが、ついにフェルランドの求めに応じてしまう。老哲学者のドン・アルフォンソは言う。「女はみんな心変わりをするもの」だと。
     二組のカップルの、結婚式が催される。デスピーナは、公証人に扮して登場し、二組のカップルは結婚の証書にサインする。そのとき、兵士の帰ってくる歌声が響き、姉妹は大慌て。変装を解いたフェルランドとグリエルモが現れる。二人の青年は結婚証書を見つけて激怒する。ここで初めて種明かしされ、和解して幕が閉じる。

Profile出演者プロフィール

ジョナサン・ノット(指揮、ハンマーフリューゲル)Jonathan Nott, Conductor & Hammerflügel

 1962年イギリス生まれ。ケンブリッジ大学で音楽を専攻し、マンチェスターで声楽とフルートを学ぶ。ドイツのヴィースバーデン・ヘッセン州立劇場で指揮者としてのキャリアをスタートし、ルツェルン交響楽団首席指揮者兼ルツェルン劇場音楽監督、アンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督を経て、2000年よりドイツ・バンベルク交響楽団首席指揮者。古典から現代曲まで膨大なレパートリーを誇り、ベルリン・フィル、ウィーンフィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ライプチヒ・ゲヴァントハウス管、シカゴ響等、世界のオーケストラへ客演している。2013年、ルツェルン音楽祭75周年ではワーグナー≪ニーベルングの指環≫全曲を演奏会形式で上演し大きな話題となった。2014年度シーズン東京交響楽団第3代音楽監督に就任した。

サー・トーマス・アレン(舞台監修、ドン・アルフォンソ)Sir Thomas Allen, Don Alfonso

 世界の主要な劇場・音楽祭およびオーケストラに出演し、バリトン歌手としての確固とした地位を築いている。
2011年には、メトロポリタン歌劇場デビュー30周年を祝い、同年、英国ロイヤル・オペラデビュー40年を記念して50役以上を務めた。現在、英国ダラム大学の学長を務めている。

サー・トーマス・アレンからメッセージが届きました!

  • ヴィクトリヤ・カミンスカイテ(フィオルディリージ)Viktorija Kaminskaité, Fiordilig

    リトアニア出身で、ベルリン・コーミッシェ・オーパーで研鑽を積む。ライプツィヒ歌劇場、ドレスデン国立歌劇場、バイロイト音楽祭等で活躍中。演出家P.コンヴィチュニーに重用され、指揮者ではK.ペトレンコ、F.ルイージらと共演。オペラでは、「コジ」フィオルディリージ、「ドン・ジョヴァンニ」ドンナ・アンナ、「魔笛」パミーナ、「ラ・ボエーム」ミミ、「カルメン」ミカエラなど幅広いレパートリーで高く評価されている。

  • マイテ・ボーモン(ドラベッラ)Maite Beaumont, Dorabella

    スペイン生まれ。パリ国立オペラ、リセウ大劇場、バイエルン国立歌劇場をはじめ、さまざまな劇場で活躍している。2005年にザルツブルク音楽祭で開催された、「コジ・ファン・トゥッテ」のドラベッラ役でデビューを果たし、高い評価を受けている。

  • ヴァレンティナ・ファルカス(デスピーナ)Valentina Farcas, Despina

    ザルツブルク音楽祭「後宮からの誘拐」ブロンデ役でデビュー。最近では、ベルリン・コーミッシェ・オーパーにて、ヘンデル作曲《ジュリアス・シーザー》クレオパトラ役、ローザンヌ歌劇場にて、《ウィンザーの陽気な女房たち》のフルート夫人役を務めた。また、リッカルド・シャイー指揮、ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団とマーラー《千人の交響曲》、ピーター・ウンジャン指揮、ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団とマーラー《交響曲第2番》で共演するなど、さまざまな歌劇場・オーケストラと共演を重ねている。

  • アレック・シュレイダー(フェルランド)Alek Shrader, Ferrando

    米国クリーブランド生まれ。2007年METナショナル・カウンシル・オーディションに合格。繊細で表現豊かな表現力が高く評価されている。グラインドボーン音楽祭、バイエルン国立歌劇場、ハンブルク歌劇場、メトロポリタン歌劇場、サンフランシスコ・オペラ、ロサンゼルス・オペラ、リリック・オペラ・シカゴ等世界の歌劇場で活躍している。2011年ザルツブルク音楽祭では《コジ・ファン・トゥッテ》フェルランド役でデビューした。

  • マルクス・ウェルバ(グリエルモ)Markus Werba, Guglielmo

    オーストリア生まれ。スカラ座、英国ロイヤル・オペラ、バイエルン国立歌劇場、ロサンゼルス・オペラ、メトロポリタン歌劇場、サントリーホール、ブエノスアイレス・テアトロ・コロン、ザルツブルク音楽祭、タングルウッド音楽祭、アスペン音楽祭など、主要な劇場・音楽祭に出演し、今最も注目される、バリトン歌手である。

  • 東京交響楽団Tokyo Symphony Orchestra

    1946年、東宝交響楽団として創立。1951年に東京交響楽団に改称し、現在に至る。2004年7月より、川崎市のフランチャイズオーケストラとしてミューザ川崎シンフォニーホールを拠点に定期演奏会や特別演奏会を開催するほか、市内での音楽鑑賞教室や巡回公演、「川崎フロンターレ」への応援曲の提供など多岐にわたる活動を行う。これらが高く評価され、2013年に第42回川崎市文化賞を受賞。また、文部大臣賞、京都音楽賞大賞、毎日芸術賞、サントリー音楽賞など日本の主要な音楽賞の殆どを受賞している。新国立劇場ではレギュラーオーケストラとしてオペラ・バレエ公演を担当。教育面では「こども定期演奏会」「0歳からのオーケストラ」が注目されている。海外公演も数多く、これまでに53都市71公演を行う。2014年度シーズンより、ジョナサン・ノットが第3代音楽監督に就任。正指揮者に飯森範親、桂冠指揮者に秋山和慶、ユベール・スダーン、名誉客演指揮者に大友直人を擁する。2016年に創立70周年を迎えた。
    HP http://tokyosymphony.jp

  • 新国立劇場合唱団(合唱)New National Theatre Chorus

    1997年の新国立劇場開場に合わせ、劇場で行われる数多くのオペラ公演の核を担う合唱団として活動を開始。公募され、厳正な審査によって選ばれるメンバーは例年100名を超え、新国立劇場が上演する多彩なオペラ公演により年々レパートリーを増やしている。個々のメンバーは高水準の歌唱力と優れた演技力を有しており、合唱団としての優れたアンサンブル能力と豊かな声量により、新国立劇場の歴史とともに、共演する出演者、指揮者、演出家・スタッフはもとより、国内外のメディアからも高い評価を得ている。外部公演の依頼も多く、メンバーには幅広い活動の場が与えられている。

Concert Information公演情報

モーツァルト 歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」全2幕

演奏会形式・原語上演(日本語字幕付き)
公演時間:約3時間(途中休憩1回)

指揮、ハンマーフリューゲル:ジョナサン・ノット(東京交響楽団音楽監督)
舞台監修、ドン・アルフォンソ:サー・トーマス・アレン
フィオルディリージ:ヴィクトリヤ・カミンスカイテ
ドラベッラ:マイテ・ボーモン
デスピーナ:ヴァレンティナ・ファルカス
フェルランド:アレック・シュレイダー
グリエルモ:マルクス・ウェルバ
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団

MOZART COSI FAN TUTTE

Jonathan Nott, Conductor & Hammerflugel
Sir Thomas Allen, Stage director & Don Alfonso

Viktorija Kaminskaité, Fiordiligi
Maite Beaumont, Dorabella
Valentina Farcas, Despina
Alek Shrader, Ferrando
Markus Werba,Guglielmo

New National Theatre chorus
Tokyo Symphony Orchestra

  • 12月9日(金)18:30開演(17:45開場)
    ミューザ川崎シンフォニーホール

    MUZA Kawasaki Symphony Hall
    S¥12,000 A¥9,000 B¥6,000 C¥4,000

    チケット購入

  • 12月11日(日)15:00開演(14:00ロビー開場)
    東京芸術劇場コンサートオペラvol.4
    東京芸術劇場コンサートホール

    Tokyo Metropolitan Theatre, Concert Hall
    S¥12,000 A¥9,000 B¥6,000 C¥4,000 D¥2,000

    チケット購入

主催:川崎市、ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市文化財団グループ)、東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
共催:公益財団法人東京交響楽団 協力:全日本空輸株式会社